生成AIを使ったデザインの可能性 前編

生成AIの概要
2022年の暮れに、生成AIが登場してから早2年以上が経過して、徐々に活用法が広がり、同時に問題点も浮かびつつあります。今回はパッケージデザインのようなクリエイティブな仕事に、生成AIをどのように組み込むことができるか探ってみたいと思います。ちなみに2024年発表の、総務省情報通信白書によると、日本人の生成AIの利用率は、回答者全体の9.1%(n数不明)という結果になっており、他国と比較しても低い割合だそうです。
使わない理由として挙げられている主な回答としては、どう使用して良いかわからない、自分の業務には使えない、という回答が多かったようです。
記事の概要
1.デザインする商品のアイディアをChatGPTに考えてもらう
2.必要な画像をAdobe Fireflyで生成する
3.生成した画像を組み合わせてデザインする
以上が大まかな流れになります。
普段の作業の流れはデザイナー毎に違うと思いますが、デザイン業務の中で、生成AIによって一番省力化できそうなのは、画像の作成だと予想しています。
通常であれば、社内で撮影したり、ストックフォトから画像を購入して使用していますが、撮影するにしても手間がかかりますし、ストックフォトの膨大な写真の中から良い画像を探すのも、時間がかかります。その時間が生成AIによって、少しでも削減できれば良いと思っています。
では始めて行きます。
1. デザインする商品のアイディアをChatGPTに考えてもらう
まずはChatGPTにアイディアを出してもらいます。普段は製品企画の段階から関わることはほとんどありませんが、今回の企画に合わせて、架空の商品を考えてもらいます。
お題は夕方5時のおやつをテーマに考えてもらいます。これは完全に私の都合で、いつも夜の作業に備えて、夕方5時頃スナック菓子などを食べています。今回は私の願望を込めて、できるだけヘルシーなものを作ってみたいと思います。
『夕方5時に食べる、小腹を満たすことができるおやつを十個考えてください』
夕方の5時に食べるのにぴったりな、小腹を満たすおやつを10個ご紹介します。
- フルーツヨーグルト:ヨーグルトに季節のフルーツを加えたもの。栄養価も高く、さっぱりと食べられます。
- ナッツミックス:アーモンド、カシューナッツ、クルミなどをミックスしたもの。少量で満足感があります。
- 野菜スティックとディップ:にんじん、セロリ、キュウリなどの野菜をスティック状に切り、好きなディップ(フムスやヨーグルトディップ)を添えて。
- おにぎり:小さなおにぎりを作っておくと手軽に食べられます。梅干しやツナマヨ、鮭などの具を入れて。
- チーズとクラッカー:クラッカーにチーズを乗せて。チーズはカルシウムやタンパク質が豊富です。
- スムージー:バナナ、ベリー、ほうれん草などをミキサーにかけたスムージー。栄養満点で飲みやすいです。
- ドライフルーツ:乾燥したマンゴー、アプリコット、レーズンなど。甘みがありながら、栄養も摂取できます。
- ライスケーキ:ライスケーキにアーモンドバターやピーナッツバターを塗って。
- ハードボイルドエッグ:ゆで卵はタンパク質が豊富で、持ち運びも簡単です。
- グラノーラバー:市販のグラノーラバーや手作りのもの。小腹を満たすのに最適です。
これらのおやつは手軽でヘルシーな選択肢ばかりなので、夕方の小腹を満たすのにぴったりです。
何か奇抜なアイディアが出てくるかと思いきや、一般論に基づく答えが返ってきました。質問が悪いのかもしれませんが、とりあえずは、これらを組み合わせて作ることにします。
ベースは9. ハードボイルドエッグ、まあ平たく言えば茹で卵で、ちょっと企画らしくするために、10. グラノーラバーの要素と組み合わせて、スティック状の茹で卵を考えてみましょう。実際の製品として実現できるかはともかく、架空商品ですので、わかりやすく奇抜なアイディアを形にしてみます。
ラフデザイン
まずはラフデザインを作成します。いつもは手書きでノートに書いていますが、今回はさくっとAdobe illustratorで作成しました。
出来上がったラフがこちらになります。
『新感覚茹で卵』を一つキーワードにして考えてみました。卵の殻から飛び出す茹で卵バーで、茹で卵の新しい形と未来を表現してみました。
2.必要な画像をAdobe Fireflyで生成する
アイディアが固まったので、画像を生成していきます。
生成する画像は 上記のラフデザインを参考に、
1.卵の殻
2.長方形の茹で卵
の2点です。
作りたい画像が決まったので、Adobe Fireflyで生成していきます。まずは長方形の形をした茹で卵を生成してみます。
『長方形の形をした茹で卵のバー。断面から黄身が見えている』というワードで生成しました。
謎のフレンチが生成されました。ちょっと一発で欲しい画像は生成できそうにないので、画像合成を前提にして作ることにします。特に断面の画像が難しそうです。
卵の殻は比較的、楽に生成できました。ひび割れ方がちょうど良い、右下の画像をベースに使います。
この後も何度かワードを変えて生成してみたのですが、長方形の茹で卵は生成できそうにないです。生成ワードの問題なのでしょうか?
考え方を変えて、生成ワードを茹で卵からチーズに変更して生成してみます。表面のツルッとした感じと、断面のざらつきが茹で卵に似ていて流用できそうです。チーズならば細長い形も学習内容に無理がない予感がします。
少し太いですが、カットされたチーズのような画像が生成できました。こちらの画像を合成して製品の写真を作ってみます。ついでに黄身の画像も生成しました。こちらは結構簡単に生成できました。少し角度を変えれば合成できそうです。ねっちりとした黄身の感じがよく表現されています。白身が少し赤身がかっている気がしますが、後々調整できます。
全部の画像を生成するのに、大体30~40回の試行回数でした。かかった時間は20分くらいでした。自分で撮影するよりも圧倒的に早いですね。
まとめ
少し長くなりましたので、前編はここまで。
今回の感想としては、思い通りの画像を生成するのは現時点では難しいです。構図や形状などを自由に作る事ができるわけではない様で、ある程度現実に準拠する必要性があるのと、効果的な生成ワードを学ばなければ使いこなせないと感じました。
次回は生成した画像を使いやすい形に修正し、デザインを作るまでをやっていきたいと思います。
以上、お付き合いいただき、ありがとうございました。
デザイナー S.S.