ロングセラーブランドに思うこと
1997年春
今から30年近く前のお話です。
「ニンニク料理・アルコールの後に」のキャッチコピーでお馴染みの小林製薬株式会社(以後、小林製薬)ブレスケア。
息のニオイはガムやマウススプレーで対策していましたが、お腹から息のニオイをケアする「清涼食品」は市場にありませんでした。小林製薬としても新分野でもあり、食品の開発自体が初の挑戦でしたので、食品のパッケージデザインを得意分野としていたYAOデザインにお声がかかりました。
入社2年目の私は先輩から「案を出してみる?」と声をかけられ、「はいっ!」。今までにない新分野の開発の一員になれることがうれしくて迷わず即答しました。
当時はまだインターネットが普及していないので競合品を調べるにも、スーパーやコンビニエンスストアなどお店をまわるしかありません。
実際にお店に行くとどんな商品と隣り合わせなのか?買い物客の商品を見る目線はどうか?どんな商品と一緒に買っていくのか?など様々なことがわかります。このお店まわりは30年経った現在でも欠かせません。
ブレスケアは市場にない商品で競合品もないので、直感的にどんなモノかがわかることが大切だと思っていました。
「“ニンニク料理・アルコールの後に”のコピーをスミ文字で大きく入れよう」「口に入れるものらしく料理写真を入れてみよう」「色は製薬会社らしい白かな?」「商品ロゴが目立つようにカプセル(錠剤)の丸の中に入れよう」など頭の中でイメージを固めました。

その頃のデザイン制作は手作業からMacへの過渡期。まだMacで使用できるフォントが少なく、写植を外注し、それをスキャニングしてロゴを作ります。イラストや写真も紙の資料などを利用してデザインを作り上げる時代でした。

こうしてブレスケアは1997年秋に発売されました。
最終的にはカプセルを見せるブリスターパッケージになり、料理写真などは外しましたが、白基調のデザインは透明できれいなカプセルが映え、カプセルをイメージした緑のエレメントの中にある黄色のロゴは、店頭で強さを発揮します。黄色のロゴは現在でも継承されるデザインの資産です。
当時、出来上がったブレスケアを80歳の祖父に渡したら「おおっ!お腹がスッキリするね〜」と目を細めて喜んでくれたのを憶えています。胃薬と間違っていたようですが。
発売から29年ロングセラーブランドに
2000年以降フルーツ系のフレーバー展開も増えたことでベースカラーも医薬品的な白から緑に変わり、色展開ができるカラーリングにリニューアル。TVCFでの視認性や今後のラインナップ展開を見据えブランドロゴも改良しました。
環境問題への配慮から詰め替え用も発売され、2011年にはパッケージが紙とプラの複合素材から単一素材のプラ袋へ変わりました。
ターゲット層の拡大やブランド内での差別化を図るため「ニンニク料理・アルコールの後に」は控えめになりました。時代の変化に応じてこまめにリニューアルとメンテナンスを続けロングセラーブランドへと成長しています。

あなたが使ったブレスケアはどれ?発売当時20代だった愛用者も今は50代。
ロングセラーパッケージは記憶のタイムカプセル。

そして現在
商品の入れ替わりが激しく、なかなかロングセラーブランドが生まれづらい現在。その中でブランドの立ち上げから30年近く関われたことは大変うれしいことです。現在関わっているどの商品もロングセラーになる可能性を秘めています。
クライアントの商品作りに対する熱意を真摯に受け止め、伴走しながら未来のロングセラー商品を作れたらデザイナーとしてこれ以上に幸せなことはありません。
本コラムは小林製薬様のご承諾の上、掲載させていただきました。ご協力ありがとうございました。
ディレクター O.K