Column

デザイナー復職1年、
慌ただしい毎日が気付かせてくれたこと

デザイナー復職1年、<br> 慌ただしい毎日が気付かせてくれたこと

産休・育休から戻り

二人目の出産を経て職場に復帰してから、一年が経ちました。
この一年は、単に「仕事と育児を両立する期間」ではなく、自分自身の働き方や、デザインとの向き合い方を改めて考える時間になったように感じています。歳を重ね体力も気力も若い頃とは違い、子どもは二人になり毎日が想像以上に慌ただしいものに変化しました。

長くパッケージデザインの仕事に携わってきましたが、復職後、商品や売場を見る視点が以前とは少し変わりました。それは産休・育休中、デザイナーとしてではなく生活者として商品に触れる時間があったからだと感じています。
朝は子どもを起こし支度に追われ、機嫌に振り回されながら限られた時間の中で幼稚園と保育園へ送り届け、そのまま仕事へ向かいます。帰宅後は食事や入浴、翌日の準備、寝かしつけまで慌ただしく一日が過ぎていきます。そんな毎日の中で買い物をする時、人は想像以上に「短時間」で判断していることに気づかされました。商品を手に取り、必要な情報を一瞬で確認し迷わず選ぶ。特に子ども連れの買い物では、“じっくり比較検討する余裕”はほとんどなく、思考途中に何度も中断させられての繰り返しです。だからこそ、パッケージには「瞬時に正確に伝わること」が大切だと、以前より強く感じるようになりました。また、セルフレジが増えてきた中での自分の体験談になりますが、バーコードの位置や大きさ、視認性の高さなど購入者のことを考えたパッケージであるか、ただ入れなくてはいけない情報を入れただけのパッケージかという差を感じるようになりました。

●必要な情報が整理されていて視線の流れが自然であること
●開け方や使い方が直感的に理解できること
●忙しい中でも安心感を持って選べること

それらは一見すると小さな工夫ですが、日々の暮らしの中では確実に使いやすさにつながっています。

育児を経験して特に実感したのは、パッケージデザインは単に“商品を魅力的に見せるため”だけのものではないということです。生活者の行動や感情に寄り添い、「選びやすい」「使いやすい」「安心できる」を支える役割も担っている。これは、実際に日々の生活に追われる側になってみて、よりリアルに納得できたことでした。

働き方への戸惑い

一方で、働き方については模索、検討と悩みながら日々を重ねています。
以前のように時間をかけてデザインへ向き合えない焦り。限られた中でも自分が納得のいくクオリティへいかに近づけることができるか。急な発熱や園からの呼び出しによって、予定通りに進まないもどかしさ。周囲にフォローしてもらう場面も多く、自分の中で葛藤がないわけではありません。ただ、その経験を通して、チームで仕事を進める意味についても改めて考えるようになりました。パッケージデザインの仕事は、一人で完結するものではありません。一緒に働く会社のスタッフだけでなく、クライアントの担当者、カメラマン、イラストレーター、コピーライターなどの社外の仲間、印刷会社など、多くの人との連携によって成り立っています。だからこそ、限られた時間の中でも情報共有を丁寧に行うこと、相手が動きやすい整理をすること、判断基準を言語化して伝えることの重要性を、より強く意識するようになりました。
ライフステージが変化し制約が生まれたからこそ、逆に磨かれた視点かもしれません。生活者としての視点と、チームの中で働く視点。その両方を持てるようになったことは、この一年で得た大きな収穫でした。

子育てと仕事の両立は、決して簡単な事ではありません。思うようにいかない日々の連続です。それでも、暮らしの実感を持ちながらデザインに向き合えることは、今の自分にとって大きな意味があります。

誰かの日常の中で、「選びやすかった」「使いやすかった」「なんとなく安心できた」と感じてもらえる。その積み重ねを支えることも、パッケージデザインの大切な役割なのだと思います。
これからも、生活者に寄り添う視点を大切にしながら、日々のデザインに向き合っていきたいと思います。

家族のイラスト

アートディレクター M.C

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